栃木県足利市にある身体障害者の園生たちで作り上げる想いのこもったモノづくりをしているワイナリーさんです。
被災箇所はワイナリー前面にある斜度38度の急斜面畑の中腹部。約100本の苗木が流れてしまいましたが幸いにも葡萄の収穫は終了していたとの事です。
今は復旧工事もだいぶ進み、重機も入るので作業も進んでいるとの事。来週開催予定の収穫祭にはなんとか間に合う目処がついたようでスタッフの皆さんからは悲壮感は微塵も感じなかった。しかし社屋奥の駐車場の山は大きな土砂崩れとなっていた。人生初めて土砂崩れを見た私は武者震いに襲われた。
ココファームさんによると、「これでも片付いた方なんです」と言っていた通り、危険性はそこには感じなかったが、報道で見るような横倒れした杉の木らと根こそぎない表土むき出しの状態は言葉を失う。
幸いにも収穫をほぼ終えていた自社農園では葡萄収穫そのものの被害はなかったとの事。今は山頂に行く道にも滑落箇所があるため、しばらくの間、山頂への道は閉鎖。池上取締役が片手に持っていたドローンは山頂付近の畑の様子を空撮で観察しているとのこと。
彼らには被災に肩を落としている暇はなく、今年は例年にないほどの葡萄の受け入れがあり、実は復旧作業と収穫祭の準備、更に仕込みを同時並行的にやっていた。至る所に仕込みのタンクでひしめき合っていた。全てのタンク、樽からはco2ポコポコ状態であった。
3年前の訪問とは違う目の前の自社農園での栽培葡萄の変更もあり、MBA、リースリングリオン、ノートン、プティマンサンのみ。現在、甲州は全買取との事。地下セラーの所で怪しげな物体が、、、見つけてしまった壺栃木県を代表とする陶器の益子焼の壺であった。この中には甲州が熟成中である。甲州F.O.Sの原料の一部として控えている状態だ。
バラエティ豊かなラインナップを持つのもココファームワイナリーの特徴だ。そこで私の復習も兼ねて一通りテイスティングをし情報整理をした。野生酵母のおりなす特有の優しさ、複雑さが心地良い味わいがどのワインにも見られる共通項で、むしろキレイ系ナチュラルワインと言っても良いだろう。その仕上がりで出汁系の旨味も持ち合わせているフードフレンドリーなワインばかりだ。現在、東京大学において蔵付き酵母がなんであるか分析に出しているそうです。
収穫量のバラツキがある為、今年限りのワインもある。毎年仕込み方の違うそれぞれのワイン。これと言った形には決めつけない作り方が柴田醸造長の考え。もとはブルースさんの教えだと思う。
最後にランチを頂き、創設者の川田先生の本をいただき、持ち帰ってじっくり読みたいと思う。社会貢献度の高いこの事業は、しっかりとしたワイン作りと収益を上げている事業体であると同時に社会福祉法人の立ち上げとその園生たちの下支えによるモノ作りが素晴らしい気持ちのこもったモノを作り上げていると感じた。
名物の一つ椎茸カプチーノなどの買い物をしながら、ココファームさんに「私にも何か協力出来ることはないか、お役に立てることはありませんか?」とたずねると、もう既にしていただいている、そうだ柴田をそちらに送り込みます!との事で、来年にココファームのメーカーズディナーを行う運びとなった。
私の個人的に好きなワインがあります。
「陽はまた昇る」2011年の震災の時に、前を向いていこうと万感の思いを込められ作られたワインだ。そんな彼らの思いを一緒に味わってみたい。
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